0. 3BM®︎リテーナーリングを使うことでの利点
3BMリテーナーリングは4項目においてPPSより上回っております。
No |
項目 |
3BM |
PPS |
1 |
耐摩耗性 |
高い |
低い |
2 |
スクラッチ量 |
少ない |
多い |
3 |
環境負荷 |
少ない |
大きい |
4 |
コスト(素材) |
低い |
高い |
- 対PAD摩耗性能は3倍以上。
- スラリー凝集によるスクラッチは酸化膜工程で1/4以下になり、W工程では約半分の実績があります。
- 使用済みの3BMリテーナーリングはご希望があれば無料で回収します。PET樹脂ですのでリサイクルが可能です。
- PET系樹脂である3BMはPPSに比べて素材レベルでのコストは1/9になります。
1. 3BM®︎リテーナーリングの紹介
環境にやさしい半導体製造向け工具 リテーナーリング
通常、リテーナーリングはスーパーエンジニアリングプラスチックであるPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)を主成分としているためリサイクルできませんが、今回開発した3BM®︎リテーナーリングは、リサイクル可能なPET樹脂を使用しています。
リテーナーリングは消耗品です。CMP工程の中で、ウェハーと共に研磨され、数ミリ研磨されると取り替える必要があります。
リテーナーリングはCMP工程においてなくてはならないもので今後もなくなることはありません。
当社の調べだと500ton/年ものPPS製リテーナーリングが世界中で埋立処分されています。
PPS樹脂からPET樹脂に変えることでリサイクル率が0%から88%になります。
半導体工場では他にも様々な環境破壊の元になるものが使われています。
全てのこの問題を解決することはできませんが、私たちは環境に少しでも配慮できるように努めます。
2. 概要
3. PETの基本構造
PETは芳香環を持ち、分子鎖が直線的で配向しやすいため、結晶化度が高く、高融点、低吸水性、低熱膨張係数を有します。また、電気特性、耐薬品性、耐候性などの特性も備えており、エンジニアリングプラスチックとして広く使用されています。しかし、独特の結晶化特性を持つため、耐衝撃性や耐熱性の面で難点がありました。
4. 3BM®︎の特徴
3BMTMは、従来のPETの弱点を克服し、CMP用リテーナーリングに特化して開発されたものです。そのため、キズの発生を大幅に低減することができました。
優れた耐摩耗性
PPS の約 3 倍 → 耐摩耗性試験( 2)参照)
高い寸法安定性
吸水率、線膨張係数が低く、歪みが少ない。
高い強度と剛性
高い荷重や摩耗に耐えられるので、精密機械部品に適しています。
不純物を溶出しない
化学的安定性、製造方法の工夫 →クリーンネスは米国FDA規格(食品安全性)に適合している(4参照)。
耐摩耗性試験結果
<条件> サンプル:3BM/PBN/PPS 10個入 測定頻度:1時間×5回(総測定時間5時間) 摩耗量 :各サンプルの5時間平均値を算出。 摩耗量(Y軸) mg/h <試験機、試験サンプルセットの状況> CMP 実験機 BC-15 サンプル:25mm(直径) スラリー:キャボットSS25 パッド:ニッタハスIC1400 ウェハープレス:17psi 研磨時間:1時間 スラリー流量:200ml/min |
3BM®︎は、3つの中で最も摩耗量が少なく、一般的に使用されているPPSと比較すると、約3分の1以下です。3BM®︎の耐PAD摩耗性は,PPSの3倍以上になります。
3BM®︎の主要物性
物理的性質
項目 |
Method |
Unit |
Value |
比重 |
ASTM D792 |
g/cc |
1.39 |
吸水率(水中24h) |
ASTM D570 |
% |
0.07 |
吸水率(水中飽和値) |
ASTM D570 |
% |
0.5 |
ガス放出量(質量損失比) |
ASTM E595 |
% |
0.15 |
機械的性質
項目 |
Method |
Unit |
Value |
硬度(ロックウェルM) |
ASTM D785 |
|
93 |
引張強度 |
ASTM D638 |
MPa |
84 |
引張破断伸び率 |
ASTM D638 |
% |
20 |
引張弾性率 |
ASTM D638 |
GPa |
3.45 |
曲げ降伏強度 |
ASTM D790 |
MPa |
96.5 |
曲げ弾性率 |
ASTM D790 |
GPa |
2.48 |
圧縮強度 |
ASTM D695 |
MPa |
97 |
圧縮弾性率 |
ASTM D695 |
GPa |
2.76 |
せん断強度 |
ASTM D732 |
MPa |
58.6 |
衝撃強度 (アイゾット) |
ASTM D256 |
J/cm |
21.0 |
摩擦係数 |
QTM 55007 |
|
0.19 |
摩耗係数 |
QTM 55010 |
×10-3/N-M |
70.5 |
限界圧力速度 |
QTM 55010 |
MPa-m/sec |
0.210 |
電気的性質
項目 |
Method |
Unit |
Value |
表面抵抗率 |
ASTM D257 |
Ω |
>=1.00e+13 |
体積固有抵抗 |
ASTM D257 |
Ω・m |
>1014 |
誘電率 |
EOS/ESD S11.11 |
|
3.2 |
誘電正接 |
ASTM D150 |
|
0.02 |
熱的性質
項目 |
Method |
Unit |
Value |
熱伝導率 |
|
W/m-K |
0.274 |
融点 |
ASTM D3418 |
℃ |
252 |
連続最高使用温度 (空気中) |
|
℃ |
98.9 |
荷重たわみ温度 (1.82MPa) |
ASTMD648 |
℃ |
98 |
燃焼性 |
UL94 |
|
HB |
5. 3BM®︎のクリーン度
世界最先端のCMP工程では、従来では気にならなかったスクラッチや金属イオンが歩留まりを低下させる要因となっています。そこで、3BM®︎の製造工程では、これまでにないレベルの「超クリーン化」を実現しました。3BM®︎と通常のPETを分析し、その結果を比較しました。
1)3BM®︎と一般的なPET製品との金属含有量の比較 ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析) (単位:ppm) |
2)3BM®︎と一般的なPET製品との金属イオン溶出量の比較 ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)による(単位:ppb) 試料として、一般PETと3BM®︎のそれぞれ30gを、5%硝酸水溶液70℃で4時間浸漬。溶出した金属イオン量の測定結果。 |
※濃度単位ppbは、ppmの1000分の1。
6. 3BM®︎導入の注意点
3BM®︎CMPリテーナーリングは、基本的にPPS製と同様のレシピでご使用可能です。しかしながらPPS製でブレークイン(事前研磨)を行っている場合
「耐摩耗性が高い」 = 「ブレークイン(事前研磨)」に時間がかかるという事になります。
PPS製のブレークインタイムが30分だとすれば3倍~90分必要という理屈になります。
この問題を解決する為に3BM®︎はPAD接触面を鏡面研磨(Mirror polishing)にしてご提供いたします。
この鏡面研磨は単純に表面を研磨するという事ではなく各CMPレシピに合わせた鏡面研磨をご提案させていただきます。
またRetainer Ringの側面。俗に言うWaferによるサイドアタックに対する耐摩耗性はPPSと比べ1.5倍程度です。この部分に関してはPPSと比較して大きく向上はしません。
PPSに比べ圧縮弾性率が5%程度低い事が影響している様でウェハー外周部の研磨レートがPPSに比べ高い傾向にあります。AMATのSUS+タイプではあまり問題になりませんがG3タイプでは15%程度。その他G2S、GXでは10%程度の変化が散見できます。
日本経済新聞社主催のスタアトピッチの関東ブロックに選出されました
3BM®︎リテーナーリングの事業は日本経済新聞社主催のビジネスピッチイベントの第4回スタアトピッチの関東大会に選出されました。
電子デバイス産業新聞 2023年4月6日号に掲載されました。
記事詳細は下記urlにてご覧ください。
https://e-taise.co.jp/page/article.html
電子デバイス産業新聞 2023年7月6日号の平坦化技術特集で、3BM CMPリテーナーリングの記事が掲載されました。
記事詳細は下記urlにてご覧ください。
https://www.e-taise.co.jp/page/article2.html
販売について
3BM®︎リテーナーリング及び、その素材を販売しております。
材料は、8” (φ250*φ198*t20)12” (φ355*φ295*t20) がございますので、気兼ねなくご連絡ください。